横浜駅。
ものすごく綺麗なお店や建物のすぐ横に、ものすごく汚い建物やゴミの溜まり場があったりする。そんな清濁混合のカオス空間の一角に、そのホームレスのおじさんはいた。
あー福井ではあんまり見ないけど、やっぱ都市圏は多いんだよね〜と横目に思いつつ通り過ぎようとしたとき、おじさんが手に持っていた雑誌に注目。
※ホームレスの皆さんが販売する雑誌。1冊350円のうち、180円が販売者の収入になる。ホームレスの救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援するロンドン発祥の事業。
一度読みたいと思いつつ普及エリアじゃない福井では中々お目にかかれなかったbig issue!!大阪では売り手のオーラが鬼気迫ってて怖くて買えなかったbig issue!!これから日本一億総活躍を考える会議(以下記事参照)
に出席する私に必要な現代世界の情報が載ってるbig issue!!!読みたい!!!でも通行人めっちゃ人多い!絶対買うのジロジロ見られる!ハズカシイ!!!でもここで読まずいつ読むの!?今でしょ!!!
上記数秒の葛藤のあと、「す、すいませ〜ん…ま、ま、前から読みたくて〜…。」販売しているおじさんに(どもりながら)話しかけた。
小綺麗なホームレスって言ったら失礼か。でも髪も服も汚れはあるもののきちんと整っていて、振る舞いも紳士的だった。
「どうぞ。」
おじさん、にこり。
「あ、ありが「おねえさんありがとね〜、こういうの興味あるの??この雑誌、ビッグイシューって言ってね、あ、もう知ってるかもしれないけど、今回の表紙猫ちゃんなんだよ可愛いでしょ、でね、僕思うんだけど、こういうのホームレスが売るってアピールしちゃうからみんな買わないんだよな、普通の雑誌として売った方が儲かると思わない?そういえば今度イベントがあってね、この表紙の人、イケメンでしょフフフ!この人ヘロインで捕まってホームレスになったんだけどそこから立ち上がってね、それが映画になるから今度日本にも来るんだよ新宿なんだけどn」
おじさん…。
めっちゃ喋るな…。
止まらないマシンガントーク。
雑誌の活動や内容、果ては横浜市の政策の愚痴(!)等々聞いて、楽しかったけど次の時間が来ていたからそこそこに切り上げた。またね、と言って、用事が終わった後にもう一度同じ場所を通ったんだけどおじさんはもういなかった。もっと話したかったんだけどなー。残念。
あんないい人がなんでホームレスになっちゃったんだろう。
家がなくなる前は何をしてたんだろう。
big issueはいつから、どうやって売り始めたんだろう。
今まで全く関わることのなかった「ホームレス」という人たちに、big issueとおじさんのおかげで興味が湧いてきた。
と、いうわけで調べてみた。
まず、ホームレスになる経緯。
アル中か賭博中かヤク中が原因でなるんだと思ってたけど、これらはただの結果であって、本当の原因は頼れる親族がいないことや失業、そして住所がないばかりに再就職が難しい、そういったことなんだというのが分かった。
まあそうだよね、若い時からホームレスの人なんていない。(たまにいるけど)(かなり特殊な人が多い)(なぜかその後成功してる人も多い)(少なくとも周囲にいる若ホームレスはそう)
みんな何かしらの理由があって仕事や家を失くして、最初は目に見えないくらい小さかったズレがだんだん大きくなって、いつの間にか自分の力では修復できなくなっていく。
そういう人達が、炊き出しの場だったり、ハローワークであったり、そういうところでbig issueの担当者に声を掛けられ、変わっていくのだと知った。
ははあ。
すごいなbig issue。(とその販売員さん)
色々な施策が功を成し、日本ではホームレスの数は年々減少しているんだとか。(ホームレスの定義が曖昧とか数え方が目視はおかしいという問題はあるけど)
その代わり引きこもりの数が尋常じゃなくて、こっちの方が深刻な問題になってきている。
具体的には、ホームレスの数は6235人。(2015年厚生労働相調べ ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について |報道発表資料|厚生労働省)
対して引きこもりは約70万人。(15〜39歳まで)(2010年内閣府調べ ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について |報道発表資料|厚生労働省)
なんだかなー。
もう、引きこもりの子はとりあえず一回ホームレス体験したらいいんじゃないだろうか。
だってずっと引きこもっていたら、行く末はそこだ。遅かれ早かれ経験するんだから、先に経験しとけばいい。それでこれは自分にはできないと働きだせばそれでオッケー、もう無理ダメだと引きこもったらそれはそれでその子の人生だ、とおもう。
どっちにしろ、一回外に出てきてくれないと、助けようにも助けられないし、見つけようにも見つからない。
おじさんと交流したおかげで、ちょっとだけ、家を持たない人への見方が変わった。