常にベストを尽くすスタンス。
プラカノンにある食べ放題のお寿司屋さんでフードバトルをしようという頭のおかしい企画を提案してそれに便乗するこれまた頭のおかしい人間が6人集まってできた今回の企画。全体的に頭おかしい。
全員それなりに大きな企業のそれなりに実績を上げている人達なので、遊びも仕事も本気。
遊びがないなら作ればいい、そんな積極的に自走するエンターテイナーが多いバンコクだからこその企画。
「3:3のチームバトルだから」
「判定単位何?寿司一貫ワンカウント?」
「数えるの難しいから皿でワンカウントかな」
「いや、カッパ巻きとかあって量にズレがあるからやっぱり一貫ワンカウントにしよう、カッパ巻きは3個でワンカウント」
「不正防ぎたいからカウントは相手チームのリーダーな」
「巻物系も重たいしカウント基準変えよか」
「みそ汁系の副菜はノーカン、あくまで寿司のみで勝負」
「制限時間は60分、ラストオーダー後も延長OKで」
着々と決まっていく即席寿司バトルのルール。
これが頭のいい人たちかぁ〜(傍観者)
負けたチームは食べ放題の料金500THB(約1500円)を負担。勝てばタダ、負けたら二倍の料金。負けられない。
平日の夜20時、我々以外一切客のいない中、地獄のフードバトルがスタート。
着席した瞬間次々に注文する各リーダー。店員さんドン引き。フードファイトはスタートダッシュ肝心だからね。最初の詰め込めるうちに詰め込んでおかないとダメだからね。
事前情報では某●ら寿司よりは美味しい、という何とも微妙な評価(100円寿司の中では美味しいほう)(だよね?)だったにも関わらず、かなり美味しいお寿司。特にサーモンとえんがわ!お箸も進みます。この脂たっぷりのネタを食べ尽くした結果もち子、20貫でダウン。本能のままに生きすぎ。お腹が固形物ばかりで辛いのでカウントにならない味噌汁を注文。戦力外すぎ。
相手チームも似たようなタイプがおり、彼女はアイスを注文。敵からのいいぞもっとやれという暖かい声援と味方からのお前何食ってんだメイン食べろやという冷ややかな罵声を味わいつつ、みんなにお裾分け。全員シメモードで一気にスピードダウン。これで明日の仕事にも響かないぜ!
と安心したのもつかの間、相手側のリーダーが追加で30貫。えっ…
すかさずこちらのリーダーも追加で40貫。ひえっ…オークションじゃないんだから…
ここで今更ながら気付く、リーダー2人はずっと淡白なエビとアジしか食べていない。私達雑兵が何も考えずサーモンやらえんがわやらシーチキンマヨやら食べていた間、彼らは眈々と力をセーブしていたのだ。全ては勝つために。これが生まれながらのリーダーと凡人の差…愕然とする雑兵。もう味噌汁しか入らない。
その後、両者一歩も譲らずその数1人60貫。ば、化け物…!わたし?30貫。
気付けば残り時間3分、途中経過の報告では今のところほぼ五分五分。ラストーオーダーを超えてしまえば、例え自分の胃袋が元気でも食べる寿司ネタがない無念残念生殺し地獄が待っている。(既に胃袋は限界だけど)そんな事態にはさせない、と両リーダーさらに追加注文。顔面蒼白の雑兵。ちなみにお残し厳禁、残したら追加料金100バーツ追加である。それを見越してか否か心なしどんどんネタより酢飯の量が多くなっている気もする。店員さんの笑顔が眩しい。こいつ100バーツ狙ってる。
もう全員限界です、これ以上食べれましぇん…という状態になり、じゃあここで最終カウントしましょうか、という空気に。やった…!とうとうこの地獄から逃れられる…!もはやこれ以上食べるくらいなら金払いますという気持ち。
の中、リーダーの非情な言葉。
「いや、あと全員1貫ずつ食べよう。」
頭おかしい、無理です、もうこんなに食べたし勝ちましたって、頭おかしい、これ以上食べたら冗談抜きで出ちゃいます
阿鼻叫喚する私達をたしなめ、ぽつりとリーダーが一言。
「今起こり得る最悪の事態を考えて欲しい。もしかしたら1、2貫差で負けているかもしれない。そしたら、これだけ辛い想いをしたのに得るものは何もなし、むしろマイナス。たった数貫の差で、だよ?それはとても無意味だし自分としては絶対避けたい。よって、それぞれ一貫ずつ食べて欲しい。俺は食う」
次の瞬間、リーダーは手元にあったサバを2貫も食べた。
リーダー…
「今起こり得る最悪の事態は食べ過ぎで体調不良起こして明日会社に行けないことなんで」
もう1人はきっぱりと断った。ですよねー
私も丁重にお断りした。
リーダー…
じゃ、茶番も終わったしもういいよね?ということでカウントへ。
結果は、
相手チーム: 143貫
自分チーム:141貫
…!?
2貫差…だと!?
一斉にリーダーを振り返る私達。
大型案件を逃した時やクラブでナンパに失敗した時よりも数倍悔しそうな顔で「ちくしょう…やっぱりあの時のサバが…」と顔を覆うリーダー。
この日、私達は大切なことを学んだ。
勝負の最初から計画的に物事を進めること
最後の最後まで勝つことに執着すること
寿司でフードバトルはもう二度としないということ
お寿司の場所はここで〜〜〜す!