今がつまらないからと腐ってはいけない。前に進む。
タイトル:県庁の星 著者:桂 望実
暇つぶしに春江図書館をぶらぶら歩いてたら、県庁の星発見。
流行ってたけど結局読んでなかったなーと思いピックアップ。パラパラ読むつもりが面白くて一気に読んじゃいました。全体のボリュームはそんなに多くなく、1〜2時間もあればさくっと読める青春社会人小説(というジャンルがあるかどうかは別にして)です。
簡単にざっくりとしたあらすじから。
県庁の産業振興課に勤めるエリート公務員「野村 聡」は、ある日人事交流として民間企業への出向を命じられることに。出世コースのはずが、潰れかけのスーパーマーケットへの出向を命じられて憤る野村。スーパーで働く職員・アルバイト・パート店員を見下し、一刻も早く出向期間が終わればいいのにと願う野村だったが…?
という内容です。(ざっくりしすぎた)
あのねー、いわゆる「デキる人」に読んでほしい一冊ですね。その中でも、なんで周りの奴らはこんなに意識低いんだ、何もできないんだって常にピリピリしてる「デキる人」向け。
作中、主人公にものっすごい共感できると思います笑。
あのー、スーパーの職員が一癖も二癖もあるツワモノ揃いなんですね。と言っても、日常的にはよくいるレベルの人たちなんだけど、エリートコースを渡ってきた「県庁の星」にとっては異質に感じるんだろうなあ、というような普通(?)の人たち。
性格のひねくれたパートのおばちゃん「二宮 泰子」を始め、競馬が趣味で仕事中に中継見ている職員、上にへつらい下に強い店長代理、休憩と言って何度も姿を消す社員、日本語のつたない外国人アルバイト、果てはホームレスまで出てきたり…登場キャラが濃いよ〜。
もちろん、主人公の野村も結構いい性格してます笑。
この地味〜に人をイラつかせる描写が巧くて、ああ〜いるいるこういう人…!と共感できること間違い無し!笑
ただ、それぞれの人物の考え方や背景も後々わかるようになっているので、読了感はすっきり。
特に、周囲に嫌味なことしか言わない(言えない)パートのおばちゃん二宮とその息子とのギスギスしたやりとりが、友人から言われたほんのちょっとした言葉がきっかけで少しずつ良くなっていく様は見ものです。
自分の今いる場所がつまらない、単調な仕事なんかやってられない、成果が出ないのは周りの人間が無能だから。
なんで自分と同じようにできないのか理解できない、と職場や家庭で悶々としている、いわゆる頭の回転が速くて、要領も良い、だからこそ他人を見下してしまう人にお薦めしたい一冊でした。
あ、もちろん県庁の話なので、現在公務員の方、公務員を志望している方にもお薦めです。
色々とお役所の悪口が書かれているので、あるある〜笑と思ったり、えっそういう組織なの?と思ったり、なかなか笑えますよ!(って公務員の友人が言ってた)笑
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